若い頃を振り返ると、なんと危なっかしい行動が多かったことか。
ちょっと運が悪ければ、今生きていなかったかもしれない。
あの頃の、そんな不安をものともしない行動の原動力は何だったのだろうと思う。
それが「若さ」だ。と、多くの人が言う。
言ってそこで終わる。
大人になり、責任が重くなるにつれて、なんとなく成り行きに流されるように行動するような時間がなくなる。
だが、もう少し歳をとって、割と時間の自由が利くようになり、それなりにお金も使えるようになっても、もうほとんどの人がそんな行動をとらなくなっている。
と言うより、ふと、そんな時間の入り口に立ったところで、もう知らないところに行く気などないのかもしれない。
例えば「予感」。
知らない場所での知らない時間に対して、もう「何か悪いことが起きなければいい」と考えてしまうような、悪い予感に止められる。
何かすると今より悪くなるのではないかと考えるのかもしれない。
だけど昔は違う。
「今夜、何かが起きるかもしれない」
夜の入り口で、こんな根拠のない予感に背中を押されていたのが若い頃なのだろう。